【賃上げブログ③|実行・判断編】 - 賃上げをやる/やらないの前に考えるべき3つの判断軸 ― 補助金に頼らない賃上げ戦略 ―
賃上げは善悪ではなく「持続可能性」の問題です。 本記事では、賃上げを判断するための3つの軸と、「賃上げを急がない」選択を戦略として成立させる考え方を整理します。
前提(設計)
本記事は、賃上げを“設計”として扱うことを前提にしています。 まだテンプレートを見ていない場合は、先にこちらをご覧ください。
次の記事では、賃上げを“やる・やらない”で迷ったときの経営判断の軸を整理します。(記事②)
なお、思想の起点はこちらです:本記事は「賃上げはコストではなく、経営設計の起点である」という考え方を前提にしています。(記事①)
賃上げは善か悪か、ではない
賃上げは「やるべき/やらないべき」という二択に陥りがちです。 しかし経営で重要なのは、賃上げが持続可能かどうか。 賃上げは一度行えば簡単には戻せないため、判断軸なしの実行は危険です。
判断軸①:賃上げが固定化しても耐えられるか
まず考えるべきは、賃上げが固定費化しても耐えられるかです。 業績が横ばいでも、売上が落ちても払えるか。 YESと言えない場合、その賃上げは時期尚早になりやすい。
判断軸②:投資回収が賃上げ前提になっていないか
次に見るべきは「賃上げをしないと回らない投資」になっていないか。 人を増やさないと回らない、賃上げ前提で利益計画を組んでいる—— こうした状態は構造的に危険です。 賃上げは投資の“結果”であるべきで、投資の“前提”に置くと詰みやすくなります。
判断軸③:3年後も同じ賃金を払えるか
最後の判断軸は時間軸です。 3年後、5年後に同じ賃金水準を払える事業構造になっているか。 短期の資金繰りではなく、将来の利益構造まで含めて判断することで、賃上げは経営判断になります。
「賃上げを急がない」という選択
3つの判断軸が揃わない場合、賃上げを見送る判断も正解です。 重要なのは、感情ではなく設計に基づいて決めていること。 賃上げは、やらないこと自体が問題なのではありません。 考えずにやることが問題なのです。
まとめ:賃上げは経営の覚悟を問う
賃上げとは、会社の未来像を社員に示す行為です。 どんな会社でありたいか、何を大切にするのか。 その覚悟が賃金に現れます。 賃上げを考えることは、経営そのものを考えることです。
賃上げ×投資×制度活用を「順番」から整理したい方へ
賃上げ・投資・制度活用をどの順番で設計すべきかは、企業ごとに答えが異なります。 当社では、賃上げを起点に経営設計全体を整理する支援を行っています。
よくある質問
- 賃上げを見送ると、社員の不満が高まりませんか?
- 不満の主因は「賃上げの有無」より「説明の有無」です。 判断軸と条件(いつ・どの状態なら可能か)を示すことで、納得感は作れます。
- 賃上げと省力化投資、どちらが先ですか?
- 原則は「設計→業務削減→投資→賃上げ」です。 ただし採用難が深刻な場合は、投資の優先順位が上がることもあります。
- 補助金を使えば賃上げは楽になりますか?
- 補助金は「加速装置」であり、原資そのものではありません。 設計がない状態で使うと、翌年以降の固定費に耐えられず苦しくなることがあります。


