賃上げブログ①|思想編 - 賃上げはコストではない。中小企業が“先に設計すべきもの”とは何か
賃上げは「利益が出たら検討する施策」ではなく、将来の利益構造を決める“経営設計の起点”です。 本記事では、賃上げをコスト問題として捉える落とし穴と、設計として扱うべき理由を整理します。
賃上げは「利益が出てから考えるもの」ではない
「利益が出たら賃上げを考える」——この考え方は一見合理的です。 しかし現実には、その順番では賃上げは永遠に実行できません。 なぜなら賃上げは、いまや“選択肢”ではなく外部環境として企業に迫っているからです。
最低賃金の上昇、人材流動化、採用難。 これらは景気の波とは別に進行し、対応を先送りした企業から静かに競争力が落ちていきます。 賃上げを後回しにすると、採用の母集団が薄くなり、既存人材の流出リスクが高まり、現場は疲弊します。
賃上げの本質は「人件費」ではない
賃上げを「コスト増」とだけ捉えると、議論は“払えるか/払えないか”で止まります。 しかし賃上げは本来、事業構造・業務設計・価格設計を見直すための起点です。
賃上げを避け続けた結果、低付加価値業務が温存され、価格交渉力が育たず、 「忙しいのに儲からない」が固定化しているケースは珍しくありません。 逆に、賃上げを前提に設計する企業では「やらない仕事」が明確になり、 省力化投資や自動化の意思決定が早まり、価格転嫁の論理も整理されます。
「賃上げ=経営設計」という視点
賃上げを“社員からの要望”や“社会的要請”として受け身で扱うと、経営の主導権が奪われます。 重要なのは、賃上げを「3年後・5年後の利益構造を先に決める行為」として扱うことです。
- どの業務で付加価値を生むのか
- どの顧客層を残すのか(顧客選別)
- どこに投資し、どこを捨てるのか
これらを先に決めずに行う賃上げは、単なる負担増になりやすい。 一方、「この賃金水準を払える会社にするには、どう設計すべきか」と問うと、 賃上げは経営を整える“装置”になります。
次に読むべき記事
では、賃上げは具体的にどのように設計すればよいのか。 次の記事では、中小企業向けに賃上げ原資を逆算する実務テンプレートを整理します。
まとめ:賃上げは“経営の答え合わせ”ではない
賃上げは、経営がうまくいった後のご褒美ではありません。 むしろ「これからどんな会社になるのか」を決める問いです。 賃上げを起点に、事業の持続性・投資判断・人材戦略を同時に見直す。 その順番が、これからの中小企業経営では不可欠になります。
無料資料:賃上げを“設計”として考えるチェックリスト
賃上げを「感情」ではなく「設計」に落とすためのチェック項目をまとめました。 経営者・管理職の方の社内検討にも使えます。
よくある質問
- 賃上げは利益が出てからでも遅くないのでは?
- 利益が出てから賃上げを検討すると、実行の優先順位が下がり続ける傾向があります。 賃上げを前提に「利益構造をどう作るか」を先に設計するほうが、現実的に意思決定が進みます。
- 賃上げをしないと採用は本当に不利になりますか?
- 業種・地域にもよりますが、賃金水準は応募数・定着率に影響します。 賃上げ自体よりも「賃上げが可能な事業構造」を示せるかが、長期的には差になります。
- 賃上げの話をすると現場が期待しすぎませんか?
- 期待値管理は重要です。だからこそ、賃上げを「設計」として語り、 「いつ・どの条件で・どこまで」を説明できる状態にすることが有効です。


