新事業はなぜ失敗するのか― 中小企業の新規事業がうまくいかない3つの理由
結論
多くの新事業は、アイデアではなく構造の問題で失敗します。
新規事業がうまくいかなかったとき、多くの企業は次のように考えます。
・市場が悪かった
・商品が弱かった
・タイミングが悪かった
しかし実際には、新事業の失敗の多くは次の3つの構造問題によって起きています。
・産業構造を理解していない
・事業設計がない
・組織と資金の準備がない
つまり新事業とは
アイデアではなく「経営設計」の問題です。
新事業の判断をするためには、まず企業が置かれている前提を理解する必要があります。 その前提については、次の記事で詳しく整理しています。
→ 日本の産業構造はこれからどう変わるのか
新事業の失敗原因はアイデアではなく、事業構造の設計不足である。
新事業とは何か
まず「新事業」という言葉を整理します。
新事業とは
既存事業とは異なる収益構造を持つビジネスの立ち上げ
です。
例えば
・新しい市場
・新しい顧客
・新しい技術
・新しい収益モデル
を対象とする事業です。
しかし多くの企業では
「新商品」
「新サービス」
を新事業だと考えています。
これは正確ではありません。
商品が変わるだけでは
事業構造は変わらないからです。
本当の新事業とは
・収益構造
・顧客
・市場
・組織
が変わるビジネスです。
新事業とは、既存事業とは異なる収益構造を持つビジネスの立ち上げである。
新事業が失敗する3つの理由
①産業構造を理解していない
最も多い失敗はこれです。
多くの企業は
・市場
・競合
・商品
から新事業を考えます。
しかし本来、新事業は
産業構造の中で設計するもの
です。
企業は単体で市場に存在しているわけではありません。
企業は
・産業
・政策
・市場
の中で動いています。
企業の競争力は企業単体ではなく、産業分業の中の位置によって決まる。
②事業設計がない
二つ目の理由は
事業設計の欠如
です。
多くの企業は
やりたいこと
↓
商品開発
↓
販売
という順序で新事業を始めます。
しかし本来の順序は
市場
↓
収益構造
↓
投資
↓
組織
↓
商品
です。
つまり
商品は最後
です。
この考え方は、コインバンクが提唱している
事業完成単位
という概念に近い考え方です。
③組織と資金の準備がない
三つ目は
新事業は既存事業とは別の事業
という点です。
新事業には
・試行錯誤
・投資
・時間
が必要です。
しかし多くの企業では
既存事業の延長で
新事業を進めてしまいます。
すると
既存事業
↓
忙しい
↓
新事業は後回し
になります。
これは
二つの会社を一つの組織で経営する状態
です。
この点については
企業成長の限界と設計について解説した記事も参考になります。
新事業は既存事業の延長ではなく、独立した事業単位として設計する必要がある。
新事業と補助金
ここで重要なポイントがあります。
新事業と補助金の関係です。
多くの企業は
補助金
↓
新事業
と考えます。
しかし本来は
新事業
↓
投資
↓
補助金
です。
補助金は
新事業を作る制度ではなく、投資を支援する制度
です。
この背景については、
次の記事で詳しく解説しています。
→ なぜ日本は補助金を増やしているのか(近日公開予定)
まとめ
この記事をまとめます。
新事業の失敗は
商品
アイデア
ではなく
構造
で起きます。
主な失敗要因は
・産業構造の理解不足
・事業設計の欠如
・組織と資金の不足
です。
つまり新事業とは
アイデアではなく経営設計
です。
企業は
・産業構造
・政策
・市場
の中で動いています。
だからこそ
新事業は産業構造から設計する必要があります。
FAQ
新事業はなぜ失敗するのですか?
多くの新事業は、アイデアではなく事業構造の設計不足によって失敗します。
具体的には次の3つの問題が多く見られます。
・産業構造を理解していない
・収益構造を設計していない
・組織や資金の準備が不足している
新事業は単なる新商品ではなく、既存事業とは異なる収益構造を持つ事業です。そのため、事業全体の設計が必要になります。
新事業の失敗原因はアイデアではなく、事業構造の設計不足である。
中小企業の新事業が失敗しやすい理由は何ですか?
中小企業の新事業が失敗しやすい理由は、既存事業の延長として新事業を始めてしまうことです。
多くの企業では
既存事業
↓
空いた時間で新事業
という形になります。
しかし新事業は
・投資
・組織
・市場
が異なるため、本来は別の事業として設計する必要があります。
新事業を成功させるポイントは何ですか?
新事業を成功させる企業には次の共通点があります。
・産業構造を理解している
・収益構造から設計している
・独立した事業単位として設計している
特に重要なのは
どの市場に参入するかではなく、産業分業のどこで価値を作るか
という視点です。
新事業の成功は市場規模ではなく、産業分業の中の位置によって決まる。
補助金を使えば新事業は成功しますか?
補助金は新事業を成功させる制度ではありません。
補助金は
新事業の投資を支援する制度
です。
つまり
新事業
↓
投資
↓
補助金
の順番になります。
補助金から新事業を考えると、
「補助金のための事業」になりやすく失敗の原因になります。
新事業はどのタイミングで始めるべきですか?
新事業は次の条件が整ったときに始めるのが理想です。
・既存事業の収益が安定している
・投資余力がある
・事業責任者を置ける
新事業は短期的に利益が出ないことが多いため、既存事業の安定が前提になります。
新事業と新商品は何が違うのですか?
新商品は既存事業の延長です。
新事業は収益構造が変わるビジネスです。
例
新商品
既存顧客 × 新商品
新事業
新市場 × 新顧客 × 新収益構造
この違いを理解しないと、新事業は既存事業の延長になり失敗しやすくなります。
新商品は既存事業の延長だが、新事業は収益構造が変わるビジネスである。
経営相談
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