なぜ採択がゴールになると失敗するのか

― 補助金依存が生む経営の歪み ―

はじめに

「採択されました。」

この瞬間、経営者は安堵します。
努力が報われた感覚もあるでしょう。

しかし、ここをゴールにしてしまった瞬間、
経営はゆっくりと歪み始めます。

なぜ判断が歪むのかという構造については、
こちらで整理しています。

判断が歪む構造

本記事では、採択が“目的化”することで起きる3つの問題を整理します。

問題①|成果の錯覚が生まれる

採択=成功、という心理が働きます。

しかし実際には、

  • 投資はこれから
  • 回収もこれから
  • 組織負荷もこれから

です。

それにもかかわらず、
経営会議や対外発信で「成果」として扱われる。

ここで“錯覚”が生まれます。

採択は通過点です。
成果ではありません。

問題②|判断基準が補助額中心になる

次に起こるのが、補助額中心思考です。

  • 補助率が高いからやる
  • 上限額が大きいから挑戦する
  • 加点を取れるから応募する

これらは制度判断であって、経営判断ではありません。

本来の問いは、

  • この投資は事業設計と整合しているか
  • 将来設計と接続しているか

です。

制度を軸に置くと、
会社は常に外部要因で揺れます。

問題③|撤退判断ができなくなる

最も危険なのはここです。

採択された以上、やらなければならない。
途中で止められない。
修正しにくい。

心理的拘束が発生します。

しかし経営において重要なのは、
“撤退ラインを事前に設計しているか”です。

制度は変更できません。
しかし事業計画は修正できます。

それを忘れた瞬間、補助金は拘束装置になります。

採択は「契約」ではない

補助金は契約のように感じますが、
本質は「支援制度」です。

目的は、

  • 生産性向上
  • 付加価値向上
  • 賃上げ
  • 事業高度化

です。

採択されたからやるのではなく、
設計と一致しているからやる。

順番が逆転してはいけません。

では、どう扱うべきか

採択は次の問いに答えられるかどうかで判断します。

  • 投資回収シナリオは3通り描いているか
  • 人材負荷を数値で見ているか
  • 撤退ラインを明示しているか
  • 補助金がなくてもやる投資か

ここまで整理できていれば、
採択は加速装置になります。

整理できていなければ、
ブレーキになります。

まとめ

採択がゴールになると失敗する理由は単純です。

制度が主語になってしまうからです。

主語は常に、

会社の設計

でなければなりません。

制度は目的ではなく、
設計を加速させる手段です。

この順番を守れるかどうかが、
分岐点になります。

なぜ採択がゴールになると失敗するのか” に対して1件のコメントがあります。

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