日本のスタートアップ政策は今どこへ向かっているのか― 成長戦略会議から見える3つの方向
内閣官房の「日本成長戦略会議」の下に、
スタートアップ政策推進分科会が設置され、スタートアップ政策の再整理が始まりました。
▶ https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/startup/dai1/gijishidai.html
この分科会では、日本のスタートアップ政策を
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スケールアップ
-
ディープテック
-
地域スタートアップ
という三つの軸で議論しています。
この記事では、公開されている資料をもとに
日本のスタートアップ政策の方向を整理します。
日本のスタートアップ政策の現状
まず現状です。
日本のスタートアップ数は増えています。
2021年 約1.6万社
2025年 約2.5万社
約1.5倍に増加しました。
大学発スタートアップも増えています。
しかし問題があります。
それは
スケールする会社が少ない
という点です。
例えばユニコーン企業(企業価値10億ドル以上)について以下のようなデータがあります。
1.日本のユニコーン企業数
| 日本 | 8社 |
| 米国 | 690社 |
2.VC投資額
| 日本 | 約1.7兆円 |
| 米国 | 約250兆円 |
3.ディープテックの台頭(世界のユニコーンのうちディープテック比率)
| 2019 | 14% |
| 2024 | 25% |
参考 CB Insights
つまり、AI・半導体・宇宙が主戦場。
これらからわかるように、桁違いです。
つまり、日本は
起業は増えたが、巨大企業が生まれていない
という状態です。
政策の焦点は「スケールアップ」
こうした状況を踏まえ、日本のスタートアップ政策は
企業数の拡大から、企業規模の拡大へと軸足を移しています。
今回の分科会でも、政策の柱は次の3つです。
① スタートアップのスケールアップ
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成長資金の供給拡大
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M&Aの活性化
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セカンダリー市場整備
-
海外展開支援
など。
簡単に言えば
会社を大きくする政策
です。
② ディープテック支援
AI
宇宙
半導体
バイオ
など
研究開発型スタートアップへの集中支援も重要な柱です。
③ 地域スタートアップの育成
スタートアップ資金の多くは
東京に集中しています。
そこで
地方大学、地方金融、地域VC
をつなぐ政策が進んでいます。
日本のスタートアップ政策の大きな転換
今回の政策議論で重要なのは
スタートアップ政策が
起業支援政策ではなく
産業政策として位置付けられている
ことです。
この計画では
-
投資額10倍
-
ユニコーン企業100社
-
スタートアップ10万社
などの目標が掲げられています。
つまり
スタートアップは
新しい産業を作る主体
として位置付けられています。
中小企業にとっての意味
ここまで読むと、スタートアップ政策は
VC
IPO
大型投資
の世界に見えるかもしれません。
しかし実際には、既存企業でも
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新規事業
-
技術開発
-
海外展開
を行う企業は同じ政策の枠組みの中に入ります。
小さくても「新しい事業」は政策対象になる
つまり、小さな企業でも新しい事業を作る会社は
広い意味では同じ政策の流れの中にいます。
まとめ
今回のスタートアップ政策の議論を整理すると
日本の産業政策は、次の方向へ進んでいます。
1.企業数を増やす政策
↓
2.企業を大きくする政策
3.技術スタートアップ政策
4.地域スタートアップ政策
スタートアップ政策は、一部のベンチャー企業の話ではなく
日本の産業構造をどう作るか
という議論になっています。
補助金制度も、この流れの中で設計されています。
新規事業・補助金の考え方について
コインバンク株式会社では
新規事業・補助金・資金調達などを
「経営設計」という視点で整理しています。
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新規事業
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補助金
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資金調達
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M&A
を分断せずに考えるための方法については
以下のページでも紹介しています。

