補助金が会社を弱くする具体例
経営判断が分断される構造については、
こちらの記事で整理しています。
経営者が判断できなくなった構造
― 部分最適が生む3つの経営事故 ―
はじめに
補助金は悪いものではありません。
DXも設備投資も、正しく使えば強力な武器になります。
問題は、それが「経営設計」と切り離された瞬間です。
経営判断が分断される構造については、
こちらの記事で整理しています。
本記事では、その“構造”が実務でどう現れるのかを具体化します。
事故①|採択されたのに、利益が残らない
よくあるケースです。
- 補助額は大きい
- 設備も導入できた
- 外部評価も高い
しかし翌年、キャッシュが苦しくなる。
原因は単純です。
投資回収設計がないまま導入しているからです。
補助金は「補助」であって「回収」ではありません。
減価償却、保守費、運用負荷、人件費増加。
それらを織り込まないと、利益率は下がります。
採択は成果に見えます。
しかし財務に接続されていなければ、構造的に弱くなります。
事故②|組織が疲弊する
補助金を軸にプロジェクトを動かすと、
現場に“やらされ感”が残ることがあります。
- なぜこれをやるのか分からない
- 業務フローが整理されていない
- 担当者だけが疲れる
制度締切に合わせた設計は、経営設計ではありません。
結果として、
- 通常業務が滞る
- 退職リスクが上がる
- 社内に不信感が残る
という副作用が生まれます。
組織設計と接続していない投資は、
人材を消耗させます。
事故③|次の一手が打てなくなる
単発申請を繰り返す会社ほど、
次の投資判断が難しくなります。
なぜなら、
- 補助金ありきの思考になる
- 資金山谷が読めなくなる
- 本来やるべき投資が後回しになる
からです。
制度を追う経営は、常に外部に振り回されます。
経営設計があれば、
制度は「使う/使わない」を選ぶ対象になります。
逆です。
制度を前提にすると、経営は後手に回ります。
補助金が悪いのではない
誤解しないでいただきたいのは、
補助金そのものが問題なのではありません。
問題は、
- 事業設計
- 人材設計
- 資金設計
- 将来設計
この4領域と接続しているかどうかです。
(統合判断の構造については
▶ 経営者が判断できなくなった構造
をご参照ください。)
設計が先。制度は後。
この順序が守られていれば、
補助金はむしろ強力なレバーになります。
では、どう判断するか
最低限、次の問いに答えられる必要があります。
- 投資回収は何年で想定しているか
- 人件費増加をどう吸収するか
- 撤退判断ラインはどこか
- この投資は将来設計と整合しているか
ここまで整理できていないなら、
一度立ち止まるべきです。
採択よりも、設計です。
まとめ
補助金が会社を弱くするのは、
制度を使ったからではありません。
「設計なしで使ったから」です。
経営は連続体です。
単発施策は、連続性を壊します。
だからこそ、
制度を判断構造の中に戻す必要があります。
関連思想:
- なぜ採択がゴールになると失敗するのか(次記事で作成予定)
- 補助金通年申請という考え方



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