新事業進出補助金でテントは却下|建物費NGから再設計した事例
新事業進出補助金の申請では、「建物費」の扱いが想像以上に繊細です。
今回、屋外活用を前提としたテント設備を建物費として計上しましたが、正式に却下されました。しかしそこで終わらせず、構想を再設計し、代替案として“キャスター式風雨対策設備”を審査テーブルに再提示することができました。
このプロセスこそが、補助金実務の本質を物語っています。
なぜテントは却下されたのか
屋外で使用する大型テントは、事業目的に合理性があったとしても、「建築物」に該当する可能性が高くなります。
建築基準法上、仮設建築物であっても一定の条件下では建築物扱いになります。さらに近年は法改正や審査の厳格化により、「仮設だからOK」という緩い運用は減っています。
補助金審査では、
-
建築物に該当するか
-
恒常的使用か
-
法令との整合が取れているか
が見られます。

事業としては合理的でも、「建物費としての整理が困難」と判断されれば却下されます。
ここで重要なのは、却下=否定ではないという点です。
否定されたのは“目的”ではなく、“構造分類”です。
目的と手段を分離する
今回の本質的な目的は「雨風対策」でした。
つまり、
-
屋外での活動を安定させたい
-
風雨による業務停止リスクを抑えたい
という事業継続性の確保が目的です。
テントはそのための“手段”にすぎません。
ここで思考を切り替えます。
建物として成立する構造でなければならないのか?
この問いに対する答えが、「否」です。
代替案:キャスター式風雨対策設備
再設計したのは、固定構造物ではない可動式設備です。
-
地面に恒久固定しない
-
解体前提ではなく、可搬式
-
建築物としての構造要件を満たさない
つまり「建物」ではなく「設備」として説明できる形に転換しました。

重要なのは、単に名称を変えたのではないということです。
法令定義に照らし、構造・設置方法・使用形態を再構築しました。
その結果、審査テーブルに再度載せることができました。
補助金は“通す技術”ではない
補助金実務で最も危険なのは、
「グレーでも出してみる」
という発想です。
制度は常に法令と整合して動いています。
テントが却下されたのは、
事業性の否定ではなく、制度との整合不足でした。
そこで必要なのは、
-
制度を読む力
-
法令を横断する理解
-
目的から逆算する設計力
です。
これは申請テクニックではありません。
経営設計そのものです。
補助金を申請テクニックとして扱うのではなく、制度・投資・組織を一本で設計する思想については、
「経営設計パートナーリング」で詳しく解説しています。
今後、この問題は増える
建物費のように法令との整合が問われるテーマは、単発申請ではなく継続設計が重要です。
補助金を通年で設計する考え方は、「補助金通年申請」ページをご覧ください。
2025年以降、建築関連規制や補助金審査はさらに厳格化します。
「去年は通った」は通用しません。
特に建物費は、
-
仮設建築物
-
増改築
-
屋外設備
-
コンテナ活用
など、グレー領域が多い分野です。
しかし逆に言えば、
設計力があれば道は残っています。
制度に合わせて事業を削らない
制度を読むのではなく、制度と整合する事業を構築するという考え方は、
「事業完成設計」の思想ページにまとめています。
補助金は、制度に合わせて事業を小さくするものではありません。
制度と整合する形に再構成する。
これが本来のアプローチです。
今回の事例は、却下を経験しながらも、
目的を守り、構造を再設計することで前に進めたケースでした。
補助金は申請書勝負ではありません。
制度と経営を一本で設計できるかどうかです。
もし、
-
建物費がグレーかもしれない
-
仮設構造が通るか不安
-
法令との整合に自信がない
そんな場合は、早い段階で設計を見直すことをおすすめします。
制度を読むのではなく、
制度と整合する事業を設計する。
そこに、補助金活用の本質があります。
建物費や設備投資のグレーゾーンについては、
設備投資設計に関する解説記事も参考にしてください。
建物費がグレーかもしれない。
仮設構造が通るか不安。
却下後にどう再設計すればいいか分からない。
その段階で止まるのではなく、
制度と整合する形に再構成するのが経営設計の役割です。
補助金を“通す”のではなく、“整える”。
ご相談は経営設計パートナーリングからどうぞ。
