最低賃金引上げと中小企業のための支援策まとめ|補助金・税制・価格転嫁の最新ポイント
2025年度、最低賃金は全国加重平均で過去最大の引上げ額(+66円)となりました。中小企業庁は、急激な最低賃金引き上げに直面する中で、「対応意欲のある事業者を優先的にサポートする」方針を表明しています。価格転嫁対策や補助金・税制、賃上げ促進施策を、積極的に取り組む企業に重点配分していく姿勢が明確になっています。本記事では、経済産業省系の支援策を簡潔に整理し、すぐに着手できる実務ポイントと合わせて解説します。
1. 今なぜ対策が必要か(全体像)
2025年9月4日の全都道府県の答申によれば、最低賃金(時給)は全国加重平均1,121円となり、前年比+66円、率にして+6.3%の大幅な上昇となりました。これは過去最大規模の改定幅であり、すべての地域で賃上げが答申された点に特徴があります。
- 最低賃金は全国加重平均で+66円の大幅引上げ。賃上げ対応は待ったなし。
- 政府は、①価格転嫁、②補助金・税制、③生産性向上と賃上げ機能の強化、の3本柱で包括支援を発表。
3. 補助金・税制の活用(賃上げ原資の確保)
認定支援機関をはじめ、補助金などで経営支援を希望しメルマガを受け取っている事業者へは既に最新情報が通知されており、補助率引上げや加点措置の周知が進んでいます。事業者側が早めに情報をキャッチアップできる仕組みも整いつつあります。
3-1. 小規模事業者持続化補助金
販路開拓や業務改善を支援。一定以上の賃上げに取り組む場合は上限を手厚く支援(通常50万円+賃上げ特例で+150万円)し、生産性向上と賃上げの両立を後押しします。
→ 参考パンフレット
4. 生産性向上と賃上げ機能の強化(特例・加点)
今回の特例措置では、「指定する一定期間において、3か月以上改定後の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上いる事業者」が対象となります。さらに、全国目安で示された最低賃金の引上げ額(63円)以上の賃上げを行った事業者については、補助金の審査において加点が実施される仕組みです。
特にものづくり補助金/IT導入補助金/省力化投資補助金(一般型)では、最低賃金引上げの影響を受ける事業者に対し、補助率引上げ(1/2→2/3)や審査での加点が実施されます。対象要件は緩和され、今般の引上げを踏まえた「事業場内最低賃金+α」の取り組みも評価対象に組み込まれました。
- 補助率引上げ特例(1/2→2/3):該当事業者に適用
- 採択審査の加点措置:特例該当・さらに全国目安の引上げ額(63円)以上の賃上げに取り組む場合など
| 区分 | ものづくり補助金 | IT導入補助金 | 省力化投資補助金(一般型) | 
|---|---|---|---|
| 要件 | 指定する一定期間において、3か月以上「改定後の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上いる事業者を対象に要件緩和(「最低賃金引上げ特例」)。 | ||
| 補助率(特例) | 通常 1/2 → 2/3 | 通常 1/2 → 2/3 | 通常 1/2 → 2/3 | 
| 加点 | 上記特例要件に該当する事業者は採択審査で加点。 さらに、一定期間において事業場内最低賃金を「全国目安の引上げ額(63円)」以上引き上げる事業者にも追加加点。 | ||
| 留意 | 中小企業庁と厚生労働省が連携し、よろず支援拠点・働き方改革推進支援センター等を通じ周知・相談を強化。 | ||
6. まとめ(結論)
賃上げは“負担”でなく“投資”へ。価格転嫁・補助金・税制・伴走支援を組み合わせ、事業計画に賃上げKPIを組み込むことで、生産性と人材の好循環が生まれます。弊社は、計画設計から申請・効果測定までをワンストップで支援します。まずは現状診断からご相談ください。
参考・出典
- 最低賃金引上げに向けた経済産業省の中小・小規模企業への支援策(中小企業庁・2025年9月)
- (交付決定の公開と更新は公式サイトで順次)IT導入補助金2025 交付決定一覧 ほか




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