第17回 小規模事業者持続化補助金の結果分析|法人格・都道府県別の傾向と次回への戦略
6月に申請締切となり、採択発表が1か月遅れていた、小規模事業者持続化補助金(第17回一般型、第1回創業型)の採択結果が公表されました。
本記事では、これまでの小規模事業者持続化補助金の採択率の推移とあわせて、第17回の採択者に関する分析をお伝えします。さらに、業種×ジャンル分析から見える特徴を整理し、次回申請に向けた戦略ポイントを提案します。
過去の採択率推移
小規模事業者持続化補助金は、回次によって応募件数や採択率に変動があります。第14回からの結果を振り返ると、申請数と採択率の相関は低く、回次ごとに政策テーマの重点度合が変わることで差が生じていると推察されます。



第17回小規模事業者持続化補助金採択者の法人格別・都道府県別内訳
第17回の採択結果を法人格別・地域別に分析すると、以下の傾向が見えてきます。
※所在地により申請窓口は「商工会」(町村部中心)か「商工会議所」(都市部中心)に分かれます。
(1) 法人格別の採択傾向
まとめ:
地域(商工会)は個人事業主中心、都市部(商工会議所)は法人中心(特に株式会社)という結果になりました。同じ制度でも、申請ルートによって採択されやすい主体像が異なるといえます。
これは、「令和3年 経済センサス(東京都)」にあるように、単純に申請した法人格の比率を反映している(株式会社:個人事業主=67:33)だけの可能性もありますが、商工会も法人格が49%となっていることから、法人化して申請することの重要性が垣間見えたとも言えそうです。
(2) 都道府県別の採択傾向
【商工会】
採択は全国的に分散し、北海道・九州など地方の比率が高い。観光や地域資源活用をテーマとする案件が多いと推測されます。


【商工会議所】
採択件数は東京都・大阪府・愛知県など都市圏に集中。IT化、デジタル投資、店舗改装が多いと推測されます。


まとめ:
法人格・都道府県別の採択者数分布より、都市部は「法人×デジタル化」案件が強い、地方部は「個人×観光・地域資源」案件が強いと推測されます。これより、法人格と地域性を掛け合わせることで、自社の立ち位置を把握し、採択確率の向上に役立てられる可能性があります。
業種別 採択件数トップ5
商工会は、 飲食・食品、製造業、美容、ITに特徴があり、直近3年間に近い傾向を示しています。商工会議所は、商工会よりも「美容・健康」「IT・デジタル」が件数で上位に出ており、都市部でのニーズが反映されています。
| 順位 | 商工会 | 商工会議所 | 直近3年間(令和3~5年度) |
| 1 | 飲食・食品 | 美容・健康 | 飲食業 |
| 2 | 製造業 | 飲食・食品 | 小売業 |
| 3 | 美容・健康 | IT・デジタル | 美容・健康 |
| 4 | IT・デジタル | 製造業 | 製造業 |
| 5 | その他 | その他 | サービス業(BtoC) |
ジャンル別 採択件数トップ5
商工会は、販路開拓が非常に多く、続いて「省力化・設備投資」が目立ちます。店舗改装・IT化の件数は少ないですが、戦略的テーマとして残っています。商工会議所は、「販路開拓」が圧倒的に多い点で商工会と共通しています。ただし「省力化・設備投資」や「店舗改装」が件数として厚くなっています。小規模事業者持続化補助金の中核である「販路開拓」は、コロナ禍から変わらず中心テーマといえるようです。
| 順位 | 商工会 | 商工会議所 | 直近3年間(令和3~5年度) |
| 1 | 販路開拓 | 販路開拓 | 販路開拓 |
| 2 | 省力化・設備投資 | 省力化・設備投資 | 新商品・新サービスの開発 |
| 3 | 店舗改装 | 店舗改装 | デジタル化・ITツール導入 |
| 4 | IT化・デジタル化 | IT化・デジタル化 | 設備投資・店舗改装 |
| 5 | その他 | その他 | 非対面サービスの導入 |
業種xジャンルの組合せトップ5
販路開拓が非常に強いうえ、情報不足により「新製品開発」を分類できていないため、不確定要素が多くなっていますが、直近3年間と比べると非対面サービス(ECサイト構築)がランク外になっている特徴があります。これは、経費申請でウェブサイト関連費用が制限されていることもありますが、非対面サービスはあらゆる事業計画においてベースとして導入されているため、タイトルからは読み取れなくなっていると考えられます。
一方、コロナ禍以降に中小企業庁が力を入れている省人化・省力化に関わるテーマが増えていることは注目に値します。
| 順位 | 商工会 | 商工会議所 | 直近3年間(令和3~5年度) |
|
1 |
飲食・食品x販路開拓 | 美容・健康x販路開拓 | 飲食業x新メニュー開発 |
| 2 | 製造業x省力化・設備投資 | 飲食・食品x省力化・設備投資 | 小売業xECサイト構築 |
| 3 | 美容・健康x販路開拓(店舗改装) | IT・デジタルx販路開拓 | 美容業x新サービス導入 |
| 4 | IT・デジタルx販路開拓 | 製造業x省力化・設備投資 | 製造業x設備投資・新製品開発 |
| 5 | その他x販路開拓 | その他x販路開拓 | サービス業x広報・販路開拓 |
第17回の採択結果から読み取れる特徴と次回への戦略
今回の結果から見えてきた特徴は以下の通りです。
- 法人格を有する事業者がやや有利
- 地域資源や観光・インバウンド対応のテーマが評価されやすい
- IT化・デジタル化は依然として重要テーマ
- 賃上げ計画や政策的キーワード(GX、DX、地域創生)を意識した案件が強い
次回申請に向けた戦略ポイント
- 法人化の有無を整理:可能なら法人格取得を検討
- 地域性の強調:地元資源や地域課題に沿った計画を盛り込む
- 政策整合性の確認:国の重点施策(DX、GX、観光振興 等)と接続させる
- 数値的根拠の準備:売上予測、来客数増加などを明確に記載
まとめ
第17回小規模事業者持続化補助金の結果を分析すると、法人格・地域性・政策テーマの3つが採択を分けるカギとなっていました。次回申請を検討する事業者は、過去の傾向を踏まえつつ、自社ならではの強みを政策テーマと結び付けて表現することが重要です。
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第17回の結果分析を踏まえ、次回に向けた計画づくりを支援します。ホワイトペーパーとSNSで最新情報をチェックし、個別相談をご活用ください。
※相談枠には限りがあります。最新の公募要領・採択結果を踏まえ、最適な申請戦略をご提案します。
第17回 小規模事業者持続化補助金に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 第17回 小規模事業者持続化補助金の大きな特徴は何ですか?
第17回(一般型・第1回創業型)は、販路開拓を中心テーマとしつつ、法人格別・都道府県別に採択件数の偏りが見られたことが特徴です。 特に、都市部の商工会議所ルートでは法人事業者、地方の商工会ルートでは個人事業主の採択比率が高く、地域性や事業形態による傾向がより明確になりました。
Q2. 法人格によって採択に有利・不利はありますか?
分析結果からは、商工会議所ルートでは株式会社など法人格を持つ事業者の採択比率が高く、商工会ルートでは個人事業主が中心という傾向が見られます。 単純に申請母数の違いもありますが、一定規模以上の投資や賃上げ計画を伴う事業では、法人格を有することで評価されやすい面があると考えられます。
Q3. 都道府県別にはどのような採択傾向がありますか?
商工会ルートでは、北海道や九州など地方圏での採択比率が高く、観光や地域資源を活かした事業が多いと推測されます。 一方、商工会議所ルートでは東京都・大阪府・愛知県など都市圏に採択が集中しており、デジタル化・IT投資・店舗改装などのテーマが目立つ結果となっています。
Q4. どのような業種・ジャンルの事業計画が採択されやすいのでしょうか?
業種では、飲食・食品、美容・健康、製造業、IT・デジタルが上位を占めています。 ジャンルでは、商工会・商工会議所ともに販路開拓が圧倒的に多く、次いで省力化・設備投資、店舗改装、IT化・デジタル化が続きます。 コロナ禍以降は非対面サービスが土台化し、タイトルや概要からは読み取りにくくなっている点も特徴です。
Q5. 次回の持続化補助金に向けて、個人事業主が意識すべきポイントは何ですか?
個人事業主の方は、まず自社の強みが「地域資源」「観光・インバウンド」「地域課題の解決」とどう結びつくかを整理することが重要です。 そのうえで、販路開拓と省力化・設備投資を組み合わせ、少ない人数でも売上と利益を伸ばせるストーリーを描くことが採択率向上につながります。 将来的な法人化を視野に入れた計画もプラスに働きやすいといえます。
Q6. 次回申請を検討している法人は、どのような戦略で事業計画を作るべきでしょうか?
法人の場合は、既存事業の収益基盤と新たな投資(デジタル化・省力化・店舗改装など)がどう連動し、売上・利益・賃上げに貢献するかを数値で示すことが重要です。 DX・GX・観光振興など国の政策テーマとの整合性を意識しつつ、法人ならではの組織的な取組み(人材育成、賃上げ計画、LTV向上施策など)を盛り込むことで、 より説得力の高い事業計画になります。




