日本の半導体産業を支える中小企業の役割と可能性:政策と新規参入方法について

私は2000年代から液晶ディスプレイ(TFT)やシリコン(Si)、化合物半導体デバイス業界で、研究・開発をしてきました。

残念ながら、2000年ごろから本格化したグローバリゼーションで、日本の半導体業界は世界での地位を失っています。

それに伴い、製造業も業者数が少なくなっています

しかし、今回の世界的な半導体業界再編に参入することは、中小企業にとっても大きなチャンスと言えそうです。

大きなチャンスといえる理由と、半導体業界への具体的な参入方法について、政策対応の面から紹介していきます。

 

半導体産業の位置づけと中小企業の参入意義

 半導体は、デジタル化やグリーン化を推進する基幹技術であり、経済安全保障やレジリエンス(耐久力)の観点からも重要な産業です。しかし、日本の半導体産業は、世界市場の拡大にもかかわらず、存在感を低下させています。このままでは、日本の国際競争力や技術力の低下につながります。

そこで、日本の国際競争力維持のためにも、中小企業が半導体産業へ進出することは重要です。

そして中小企業は、いまだ自覚していない柔軟な発想や独自の技術で、半導体の開発や製造に貢献できます。

例えば、先端半導体の設計や製造に必要な素材や製造装置の開発、省エネやグリーン化に寄与する半導体の開発など、多様な市場やニーズに応えられる見込みがあります。

中小企業としても、半導体産業へ進出するメリットは、以下のようなものがあります。

・中小企業は、大企業にはないスピード感や柔軟性を持っています

 半導体産業は、技術革新や市場変化が激しい分野です。中小企業は、これらの変化に小回り良く素早く対応し、革新的な製品やサービスを提供できます。

・中小企業は、地域社会とのつながりが強い

 半導体産業は、高度な人材やインフラが必要です。中小企業は、地域の大学や研究機関と連携し、人材育成や技術開発に取り組むことができます。また、地域の産業や社会課題に応える半導体の開発に取り組み、自社のマーケットポジションを新規に開拓することもできます。

・中小企業は、半導体産業のサプライチェーンやエコシステムを強化する役割を果たせます

 半導体産業は、多くの企業や分野が連携することで成り立っています。中小企業は、大企業と協力し、半導体の品質や安定性を向上させるなど、きめ細かい部分を担うことができます。また、半導体の需要や供給のロットを小さくすることでバランス調整に貢献し、半導体需給の連続性を高めることで、半導体不足のリスクを低減することができます。

以上のように、日本の中小企業が半導体産業へ進出することは、半導体産業の発展や競争力の向上につながります。

政府も、中小企業が半導体産業へ進出することを支援するために、補助金や税制優遇などの政策を実施しており、今後も続く見込みです。

 

政府の積極的な支援は大企業から始まっている

今回の世界的な半導体サプライチェーンの再編では、日本にチャンスが生まれそうです。

TSMC(台湾セミコンダクター)の日本進出やラピダスへの欧米の参画を見ると、かつての日の丸半導体の縮小再編とは状況が異なります。

半導体産業は、情報デバイスから防衛に不可欠なものとして日本政府も認識しており、緊急性の高い課題として継続的な取組が見込まれます。

実際、2023年に経済安全保障推進法に基づき、半導体の安定供給確保に対して以下の助成金を出しています。

半導体の安定供給の確保に係る取組の認定について

これは、大手半導体関連企業の国内での投資を促します。そして、大手企業の補助金割り当て決定が昨年なので、2025年くらいまでに波及効果を期待できるでしょう。

そのタイミングで、ものづくり補助金などおける、半導体関連の採択確率が高くなることも見込まれます。

事業再構築補助金は見通しが不透明ですが、新規参入を考えている事業者様は、関連企業や商流を調査しておくと良いタイミングです。

中小企業がアクセスできるポイントを見つけるには?

参入を検討すると言っても、どうしたらいいのかわからないと思われるかもしれません。もちろん、いきなり大手企業へアプローチしたり、現在のサプライチェーンに入っていくのは難しいですが、いくつか初期調査の方法があります。

 

1.大手企業の公開情報を利用する

  関連する研究開発投資も増える見込みのため、半導体関連事業への進出を検討されている事業者様はこまめに確認しておきましょう。先ほど紹介したページ(こちら)には、計画を認定された企業の一覧表とその概要が掲載されています。自社が進出しやすそうな業界の会社を調べ、その研究開発や仕入れ先、販売先を調査することで、見通しや入りやすさが変わってきます。

2.展示会へ参加する

  出展できるくらい準備ができていれば、出展しましょう。もちろんビジターでも構いません。そして、事前に出展会社を調査しておき、自発的に訪問・アポ取りをしていきます。展示会は基本的にビジネスの話をする場なので、架電やメールで直接問合せするときより、相手方も対応の準備ができています。

 

入り口としては上記2つの他にもありますが、そもそも半導体業界で何を話したらいいかわからない事業者様もいると思います。そのような場合は、弊社にご相談ください。技術・商流・規模などの多面的な分析から、アクセス方法を調査してレポートいたします。

 

半導体の事業環境は皆さんのチャンスを増やす方向に進んでいます!

今回の世界的な半導体業界再編に参入することは、日本の中小企業にとっても大きなチャンスと言えそうです。国の後押しも期待できますので、半導体産業への新規参入や事業拡大を検討してみてください。

弊社では、中期経営計画の策定から実施までフルサポートしております。興味のある事業者様は、無料相談からご利用ください。一時間程度のセミナー形式など、様々なスタイルでご相談いただけます。

 

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